この記事はPRを含みます スキンケア

純粋レチノールとレチノールの違いを完全ガイド|効果と副作用は?

純粋レチノールとレチノールの違い

「シワを何とかしたいけれど、種類が多くてどれを選べばいいか分からない」と悩んでいませんか。

実は「純粋レチノール」と一般的な「レチノール(誘導体)」は、似て非なるものです。

最大の違いは、肌への作用スピードと「シワ改善」という効能が国に認められているかどうかにあります。

自分に合わないものを選ぶと、肌トラブルの原因になったり、逆に効果を感じられなかったりすることがあります。

この記事では、両者の科学的な違いから、あなたの肌質に合った正しい選び方までを分かりやすく解説します。

【結論】純粋レチノールとレチノール(誘導体)の決定的な違い

「レチノール配合」と書かれた化粧品はたくさんありますが、実はその中身は大きく2つに分類されます。

それが「純粋レチノール」と「レチノール誘導体」です。

まずは、この2つがどう違うのか、結論から整理していきましょう。

  • 純粋レチノール(ピュアレチノール):効果は強力で即効性があるが、刺激も強く不安定。「医薬部外品」の有効成分として承認されているものがある。
  • レチノール誘導体(パルミチン酸レチノールなど):効果はマイルドでゆっくりだが、刺激が少なく安定している。「化粧品」に配合されることが多い。

この章では、それぞれの特徴を深掘りしていきます。

効果のスピードと強さ:「攻め」か「守り」か

最も大きな違いは、肌に対するアプローチの強さです。

純粋レチノールは、その名の通り「純粋」なビタミンAそのものです。

肌に塗るとダイレクトに細胞に働きかけるため、効果の立ち上がりが早いのが特徴です。

特に、真皮のコラーゲンやエラスチンを増やす働きが強く、深く刻まれたシワに対して「攻め」のケアができます 。

一方、パルミチン酸レチノールなどの誘導体は、肌の中でゆっくりと変換されてから働くため、即効性は期待できません。

その代わり、肌への負担が少なく、毎日のケアで少しずつ肌の基礎体力を上げていく「守り」のケアに適しています 。

医薬部外品としての承認:「シワ改善」を謳えるかどうかの壁

日本において、この2つには法律上の大きな壁が存在します。

2017年、資生堂が「純粋レチノール」を有効成分として配合した製品で、日本で初めて「シワを改善する」という効能の承認を取得しました 。

これは単なる保湿による小ジワケアではなく、真皮の構造に働きかけてシワを改善する効果が、国(厚生労働省)に認められたということです 。

これに対し、多くのレチノール誘導体配合コスメは「化粧品」に分類され、「シワ改善」という効能を謳うことはできません(あくまで「乾燥による小ジワを目立たなくする」範囲です)

ただし、歴史的に見ると、日本で最初に「シワ改善」の承認を取ったのはポーラの「ニールワン」という成分です 。

純粋レチノールは、「レチノール類として初めて」承認された成分であるという点は、正しく理解しておきましょう 。

刺激の強さと「A反応」のリスク管理

「効果が高いなら純粋レチノール一択では?」と思うかもしれませんが、そこにはリスクも伴います。

純粋レチノールは作用が強力な分、「A反応(レチノイド反応)」と呼ばれる副反応が起こりやすいのが難点です。

使い始めに、赤み、皮むけ、ヒリつき、乾燥などが生じることがあります 。

これは肌の代謝が急激に促進されることによる生理的な反応ですが、肌が弱い人にとっては辛い期間となることもあります。

一方、誘導体はこのA反応が起こりにくく、敏感肌の人でも比較的安心して使えるのがメリットです

なぜ効果に差が出る? 肌の中での「変換」メカニズム

なぜ同じビタミンAなのに、これほど効果や刺激に差が出るのでしょうか。その答えは、肌の中での「変換ステップ」にあります。

ビタミンAの代謝経路:レチノイン酸への変換ステップ数

ビタミンAが肌の細胞に指令を出し、実際に効果を発揮するためには、「レチノイン酸」という形に変化する必要があります。

化粧品に含まれる成分は、肌の中で以下のように変換されていきます

レチノールからレチノイン酸への変換ステップ
  1. レチノール誘導体(エステル) ↓(酵素で分解:ステップ1)
  2. レチノール(純粋レチノール) ↓(酵素で変換:ステップ2)
  3. レチナール ↓(酵素で変換:ステップ3)
  4. レチノイン酸(活性型)ここで初めて効果発揮!

ご覧の通り、誘導体は変換ステップが多く、純粋レチノールはステップが少ないのです。

変換ステップが少ないほど、活性型になる量が多くなり、効果も刺激も強くなります 。

逆に、誘導体は変換される過程で穏やかに作用するため、刺激が抑えられるというわけです。

純粋レチノールが「シワ」に効く科学的根拠

純粋レチノールがシワ改善に効くメカニズムは、主に2つあります。

一つは表皮での働きです。

純粋レチノールは、表皮細胞でヒアルロン酸の産生を劇的に高めます。これにより、水分量が増え、肌の内側からシワの溝を押し上げるような力が生まれます 。

もう一つは真皮での働きです。

肌の奥にある線維芽細胞に働きかけ、コラーゲンやエラスチンの生成をサポートし、肌の土台を再構築します 。

資生堂のデータによると、純粋レチノール配合品の使用9週間で、深いシワ(グレード4)の改善が確認されたという報告もあります

パルミチン酸レチノールなどが「守りのビタミンA」と呼ばれる理由

一方で、パルミチン酸レチノールなどの誘導体は、もともと私たちの皮膚の中に蓄えられているビタミンAの形に非常に近いものです

これらはシワを消すというよりも、紫外線によるダメージから肌を守る「抗酸化作用」に優れています 。

日中に浴びる紫外線は肌のビタミンAを破壊し、光老化(シミ・シワ)の原因になりますが、パルミチン酸レチノールを補給しておくことで、この破壊を防ぐ「日傘」のような役割を果たしてくれるのです。

そのため、朝のスキンケアに取り入れるなら、純粋レチノールよりも誘導体の方が扱いやすいと言えます。

失敗しない選び方|あなたに向いているのはどっち?

仕組みが分かったところで、実際にどちらを選べばいいのか、肌悩みやタイプ別に整理してみましょう。

【タイプ別診断】肌悩みとリスク許容度で選ぶ

A:純粋レチノール(医薬部外品)がおすすめな人

  • 目尻や口元の「深いシワ」を本気で改善したい
  • 過去にレチノール製品を使ったことがあり、肌が慣れている
  • 多少の赤みや皮むけ(A反応)が起きても、結果を重視したい
  • 30代後半〜50代で、肌のハリ不足を深刻に感じている

B:レチノール誘導体(化粧品)がおすすめな人

  • まだシワは深くないが、将来のために「予防」したい
  • 敏感肌で、化粧品で肌荒れしやすい
  • A反応で皮がむけるのは絶対に避けたい
  • 20代〜30代前半のファーストエイジングケア

もし「A:純粋レチノール(医薬部外品)がおすすめな人」を選んで肌荒れが心配な場合は、最初は週に2〜3回から始めたり、濃度の低いものから試したりするのが鉄則です 。

話題の「次世代成分」グラナクティブレチノイドやバクチオールという選択肢

最近は、第3の選択肢も注目されています。

  • グラナクティブレチノイド: 次世代型のレチノールと言われ、理論上は変換なしで直接作用するため効果が高いのに、刺激が少ないとされています 。ただし、純粋レチノールほどの長期的な臨床データはまだ少ないため、「期待の新人」といった位置づけです 。
  • バクチオール: 植物由来の成分で、レチノールではありませんが、遺伝子レベルで似たような働きをします 。刺激がほとんどなく、光にも強いため、日中も使いたい人や、妊娠中でレチノールを控えたい人にとって有力な選択肢です 。ただし、「妊娠中でも絶対安全」と断言するにはデータが不足しているため、心配な方は医師に相談しましょう 。

実は「成分」以上に重要! 効果を左右する「容器と安定性」

「純粋レチノール配合」と書かれていればどれでも同じ、と思っていませんか? 実は、成分名と同じくらい、あるいはそれ以上に重要なのが「容器」です。

純粋レチノールは酸素と光に弱い「生モノ」

純粋レチノールは非常にデリケートな成分です。熱、光、そして酸素に弱く、空気に触れるとすぐに酸化して効果を失ってしまいます

酸化したレチノールは効果がないだけでなく、肌への刺激物質に変わってしまうこともあります 。つまり、どんなに高濃度で配合されていても、開封後に空気が入ってしまうような容器では、使い切る頃にはただのオイルになっている可能性があるのです。

高価でも「エアレス容器」や「特殊チューブ」を選ぶべき理由

だからこそ、メーカー各社は容器に莫大なコストをかけています。

例えば、資生堂は「バックレスチューブ」という特殊な容器を採用しています。

これは中身を出した後に空気が逆流しない仕組みになっており、開封後も最後まで酸素を遮断し続けます 。

また、パウチ型の容器やエアレスポンプなど、とにかく「空気に触れさせない」工夫がされている製品を選ぶことが、効果を実感するための大きな鍵になります 。

安価なスポイトタイプやジャータイプの容器に入った純粋レチノール製品には、安定性の面で注意が必要です。

純粋レチノールとレチノールに関するQ&A

Q1: 朝も使えますか?

基本的には使用可能ですが、注意が必要です。純粋レチノールを塗った肌は紫外線に対して敏感になるため、朝使う場合は必ずSPF30以上の日焼け止めを併用してください 。紫外線を長時間浴びる予定がある日は、夜のみの使用にするのが無難です 。一方、パルミチン酸レチノールなどの誘導体は光に比較的強いため、朝のケアにも向いています

Q2: A反応(皮むけ・赤み)が出たらどうすればいいですか?

A反応はアレルギーではありませんが、無理は禁物です。反応が出たら、使用頻度を「毎日」から「2〜3日に1回」に減らすか、使用量を減らしましょう 。 おすすめは「サンドイッチ塗り」です。洗顔後、先に乳液やクリームを塗ってからレチノールを塗り、最後にもう一度クリームを重ねます。油分の膜で浸透が穏やかになり、刺激を大幅に抑えることができます

Q3: どのくらいの期間で効果が出ますか?

肌のターンオーバーには時間がかかるため、即効性を求めすぎないことが大切です。資生堂のデータでは「9週間」の使用でシワ改善効果が認められています 。まずは2〜3ヶ月、じっくり継続することをおすすめします

Q4: 敏感肌でも使えますか?

敏感肌の方は、まずは作用の穏やかな「パルミチン酸レチノール」や「水添レチノール」などの誘導体配合製品から始めるのが安心です 。純粋レチノールを使いたい場合は、低濃度のものを選び、パッチテストを行ってから少しずつ慣らしていきましょう

Q5: ビタミンCやピーリングとの併用は?

ピーリング作用のある成分(AHA/BHA)との同時併用は、肌への刺激が強すぎるため避けてください 。

ビタミンCとの併用は、相乗効果も期待できますが、刺激を感じる場合があります。その際は、「朝はビタミンC、夜はレチノール」と時間を分けて使うのが最も安全で効果的です 。

まとめ:純粋レチノールとレチノールの違い

純粋レチノールとレチノール誘導体、それぞれの違いはお分かりいただけたでしょうか。

  • 純粋レチノール:本気で「シワ改善」を目指す人のための、攻めの医薬部外品成分。
  • レチノール誘導体:肌を守りながらゆっくりケアしたい人のための、守りの化粧品成分。

どちらが良い・悪いではなく、現在のあなたの肌悩みと、どれくらいのリスク(A反応)を許容できるかで選ぶことが大切です。

そしてもうひとつ付け加えるなら、レチノールケアは「継続」こそが最大の力になります。

焦って高濃度なものを使って肌を傷めるよりも、自分の肌に合う強さのものを長く使い続けることで、数年後の肌には大きな差が生まれるはずです。

毎日のスキンケアに賢くビタミンAを取り入れて、ハリのある未来の肌を育てていきましょう。

-スキンケア